夏の終わり

今年の夏は暑い。例年ならそろそろ涼しくなるはずだが、いまだに全くその気配が無い。

メンタルヘルスの視点から、毎年心配なのは、この時期の児童の自殺の話である。9月1日前後に自殺の特異日があるといわれている。

そもそも学校が居場所になっている中では、その子にとっては居場所への参加プレッシャーがある限り登校圧力が高まる。日本では学校化された社会構造が優位なので(会社も入社式で4月から始まるし、スーツや行動規範などの同調性が学校の様に求められる。)学校に行けない事は、家族にとっても、本人にとっても、そういった社会構造から転落する恐怖を伴いがちだ。

そのために、学校以外の選択肢を持つ事が大事ではあるのだが、所属を変えるという事は簡単ではなく、所属を失う事なので、とても不安感を伴いがちだ。

そこでコロナの時に何があったかというと、2020年5月の緊急事態宣言の発出前から、学校の登校が無くなった。その時に何が起きたかというと、4月の新学期に増加する自殺者が減少した。その後、6月に登校が再開されると、増加してしまったのである。

「自殺」というと極端に思えるかもしれないが、コロナ禍という緊急で例外的ではあったが、少なくとも登校しない事が自殺の減少に役に立った可能性があるのだ。言い方を変えると、「学校に行かなくて良い」という強いメッセージで当時は救われた児童がいたということではないだろうか。

強い不安感ややる気が出ない時に無理して登校して「自殺」を考えるくらいなら、一旦立ち止まることも選択肢の一つになると良いと私は思う。しかし、居場所に所属できない事を罪悪感に捉えてしまうのはあるので、一旦それを脇に置いて時間を過ごせる「横向き」な選択も必要では無いであろうか。自分の居場所を見つけるまで、横向きで良いと誰かにいってもらえると楽になる児童がいるかも知れない。